大きく変わる大学入試

大きく変わる大学入試

大学入試改革、という言葉を聞いたことがある方も多いでしょうか。例えばセンター試験は2019年度(2020年1月)の実施を最後に廃止され、これに代わり2020年度からスタートするのが「大学入学共通テスト」です。今の高校1年生(2019年2月現在)からこのテストを受けていくようになります。

新テストの導入にあたっては、「知識・技能」だけでなく、大学入学段階で求められる「思考力・判断力・表現力」を一層重視するというものです。今よりも記述問題も増えます。

英語は従来の「読む・聞く」の2技能に「書く・話す」を加えた4技能が評価されることになります。また英検・TOEFL・TOEICなどの民間試験も考慮される予定です。では実際の大学進学の状況は、どのようになっているのでしょうか。

Ⅰ.受験生の6人に1名しか国公立大学に進めない!!【出典】河合塾調べ

【1】国公立大学入試結果(2018年度)
  募集人員
年度 2016 2017 2018
前期 79,934 79,843 79,994
中期 1,958 1,978 2,193
後期 19,251 18,569 18,360
全体 101,143 100,390 100,547
【1】国公立大学入試結果(2018年度)
  志願者数
年度 2016 2017 2018
前期 258,193 258,918 257,863
中期 27,333 27,637 29,604
後期 186,113 184,221 178,238
全体 471,639 470,779 465,705
【1】国公立大学入試結果(2018年度)
  合格者数
年度 2016 2017 2018
前期 91,861 91,334 91,075
中期 4,700 4,735 4,827
後期 24,808 23,987 23,445
全体 121,369 120,056 119,347
【1】国公立大学入試結果(2018年度)
  倍率
年度 2018
前期 2.8
中期 6.1
後期 7.6
全体 3.9
【2】私立大学入試結果(2018年度)
志願者数
年度 2016 2017 2018
一般 2,162,926 2,333,377 2,477,927
センター 1,003,513 1,071,624 1,177,766
全体 3,166,439 3,405,001 3,655,693
【2】私立大学入試結果(2018年度)
合格者数
年度 2016 2017 2018
一般 588,178 572,013 548,294
センター 362,583 362,135 349,961
全体 950,761 934,148 898,255
【2】私立大学入試結果(2018年度)
倍率
年度 2018
一般 4.5
センター 3.4
全体 4.1

国公立大学の定員は約10万人です。私立大学は述べ90万人ほど合格はしています。しかし実際に1人の受験生がいくつもの大学へ入学することは出来ません。大体受験生の6人に1人が国公立大学へ、残りの5人が私立大学へ入学する計算になります。また倍率ですが、埼玉県の公立高校受験の倍率は、普通科で1.21、全日制だと1.18です(2018年度入試結果より)。高校入試の倍率と比べると、大学入試の倍率が高いことが分かります。

なかでも人気私立大学・学部は、定員厳格化も加わって、かなり倍率が高くなっています。

【参考資料】国公立大学と私立大学の費用はどのくらい異なる?

【出典】文部科学省令・文部科学省:平成28年度学生納付金調査
  国立大学(文系・理系) 公立大学(文系・理系) 私立大学(文系)
入学料 282,000円 393,426円 253,461円
授業料(4年間) 2,143,200円 2,151,236円 3,510,940円
施設整備費(4年間) 742,480円
4年間学費合計 2,425,200円 2,544,662円 4,506,881円

※その他の、受験料・教科書代・交通費・家賃などは含まず

私立大学の平均授業料は年間877,735円。それに加え施設整備費の平均が185,620円。それに入学金を加えると初年度は1,316,816円。国立大学の初年度費用767,393円と比較した場合に、私立大学の費用は国公立大学の約2倍となります。年間の学費も私立大学は授業料+施設整備費で平均は年間100万円。国立大の授業料は年間50万円です。ここでも2倍の差があります。国公立大学と私立大学を4年間比較した場合、平均で約200万円異なります。

また医歯薬学部になるとその差はかなり顕著です。国立大学の医歯薬学部に6年間在学した場合、約350万円かかるのに対し、私立大学の医歯薬学部6年間で2,200万円~4,700万円かかります(大学によって学費は異なります)。

Ⅱ.都内の私大合格の超難化はなぜ?

それは大学定員の厳格化によって起こっています。都会への大学生の集中を防ぐために、文部科学省は定員を超過した大学に対して、私学助成金の交付基準を年々厳しくしています。私学助成金は、私大の収入の約1割を占めるとされ、その補助金がカットされると学校経営に大きな影響を与えます。大学側はこれまでのように多めに合格者を出すことが難しくなりました。

【参考資料】定員厳格化 ⇒ 志願者増だが合格者は減少 ⇒ 都内の私大超難化
大学名 2016年度
早稲田 志願者数 108,039名
合格者数 17,976名
倍率 6.01倍
明治 志願者数 108,500名
合格者数 24,144名
倍率 4.49倍
青山 志願者数 59,850名
合格者数 9,504名
倍率 6.29倍
法政 志願者数 101,976名
合格者数 23,192名
倍率 4.39倍
【参考資料】定員厳格化 ⇒ 志願者増だが合格者は減少 ⇒ 都内の私大超難化
大学名 2017年度
早稲田 志願者数 114,983名
合格者数 15,927名
倍率 7.21倍
明治 志願者数 113,578名
合格者数 22,885名
倍率 4.96倍
青山 志願者数 60,966名
合格者数 8,064名
倍率 7.56倍
法政 志願者数 119,206名
合格者数 21,192名
倍率 5.62倍
【参考資料】定員厳格化 ⇒ 志願者増だが合格者は減少 ⇒ 都内の私大超難化
大学名 2018年度
早稲田 志願者数 117,209名
合格者数 14,532名
倍率 8.06倍
明治 志願者数 120,279名
合格者数 21,126名
倍率 5.69倍
青山 志願者数 62,905名
合格者数 7,313名
倍率 8.60倍
法政 志願者数 122,499名
合格者数 17,548名
倍率 6.98倍

Ⅲ. やはり大学へ進学するためには、一般入試を受験するしかない?

一般入試・センター入試以外に、大学へ進学する方法はないのでしょうか。

いえ、あります。それがいわゆる推薦入試・AO入試です。実は私立大学の入学者の半分以上が推薦入試・AO入試からの進学者となっております。

2018年度 全体 推薦入試(%)
入学者数 616,584 216,995(35.2%)
私立大学 486,857 197,378(40.5%)
国立大学 98,330 1,953(12.2%)
2018年度 AO入試(%) 推薦+AO入学者(%)(%)
入学者数 56,030(09.1%) 44.3%
私立大学 52,020(10.7%) 51.2%
国立大学 03,249(03.3%) 15.5%

難関大学(早稲田など)も、推薦入試・AO入試合格者は増えています。また国公立大学も推薦入試・AO入試からの合格者を増やしていく方針です。

知識と同時に思考力・判断力・表現力などを多角的・総合的に評価するための入試改革の一環として、思考力などを重視するAO入試を導入する大学が増えているのです。

推薦の種類

指定校推薦
  1. 大学から推薦枠をもらった高校からのみ出願可
  2. 高い合格率
  3. 前年に指定校だったからと、今年も枠があるとは限らない
  4. 高校ごとに推薦枠が決まっている

⇒ライバルは同じ高校に通う同級生

公募制推薦
  1. どの高校からでも出願可
  2. 出願資格:高1~高3の成績(=評定平均値)、出席日数、部活動、生徒会活動、資格(英検など)、ボランティアなどの実績
  3. 評定平均値は高1・高2の成績も含まれる

⇒日々の学習態度、中間・期末の結果が反映される

AO入試 (高3の8月~翌3月)
  1. 面接やグループディスカッション、小論文、志望動機や学部・学科の適性、入学後の意欲などで総合的な人物評価を行って選抜
  2. 近年では、学力の基準・学力試験を新たに設けている大学も増えている⇒一般入試なみ、とまではいかないが、高校の学習の基礎は大切
  3. 小論文・面接対策として、文章力・表現力を鍛える必要あり

 一般入試・センター入試(大学入学共通テスト)によって大学合格を目指す方法もありますが、推薦入試・AO入試という、日々の高校生活が評価されて大学へ進学するケースが増えてきています。よって高校時代の調査書=学習がかなり重要となっています。部活動だけに熱中せず、日頃から高校の授業・復習を大切にしましょう。

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