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桶川東口校コラム 漫画で歴史を学ぼう! 第3回『カタリベ』

漫画で歴史を学ぼう

第3回『カタリベ』

みなさん、こんにちは。社会と漫画を愛するサイエイDuo桶川東口校の講師が、日本と世界の歴史をマンガでめぐって行こうという企画の第3回目です。

「この漫画をとりあげて」などとの声もあり嬉しい限りです。また「この時代を扱った漫画無いの?」などのリクエストにも応えていきたいと思います。

長編作品が続きましたので、今回は一巻で完結の『カタリベ』を取り上げてみたいと思います。

作品名:『カタリベ』石川雅之(少年画報社・2012年・全1巻)

  • 時代区分:南北朝~室町初期

学習ポイント:倭寇についてのイメージと、14世紀の東アジア。

今回のテーマは「倭寇」です。鎌倉幕府滅亡~南北朝の騒乱を扱った漫画としては、最近完結した河部真道の『バンデッド』(講談社・全6巻)や、一連の『太平記』をあつかった漫画作品があげられます(さいとう・たかを版が有名です)。

『バンデッド』も面白いのですが、赤松円心など、高校入試ではまず出題されない人たちがメインなのと、後醍醐天皇や楠正成、足利尊氏といった人物の性格が漫画的にデフォルメされすぎているところが、「歴史を学ぶ」という趣旨だと扱いづらい所です。
(『バンデッド』の楠正成は漫画としては最高のキャラです。)

『カタリベ』もかなりマニアックな設定です。初期倭寇の中核だった村上水軍の美女棟梁が出てきたり、海洋民の神バハンが死者をよみがえらせたり、北朝に仕える妖術師集団が人々を洗脳していたりと、ファンタジー色が強く、歴史上の有名人はほぼ出てきません。

農業大学の日常を描いて、実写ドラマ化もされた『もやしもん』で有名な、石川雅之がもやしもん以前に書いていた作品です。そんなに売れた作品ではないのですが、「14世紀の東アジア」を考えるうえではすぐれた作品と言えます。

歴史を教えていて、よく受ける質問に「日本史と世界の動きを関連づけて覚えられない」といったものがあります。一般的な中学歴史の教科書ですと、室町時代のあたりで東アジア史の流れをあつかうページが唐突に入り込んできます。歴史嫌いの生徒には難しいようですので、今回はここら辺をまとめてみましょう。

日本が南北朝の騒乱のころ(14世紀)

  1. 中国では「元」の力が衰え、漢民族の「明」が元を北方に追いやり、中国を統一します。元や清のように遊牧民族が中国に侵攻し、漢民族を支配した王朝を「征服王朝」と呼びます。漢や明のような王朝との違いを押さえておくとよいでしょう。
  2. 朝鮮では、元に服属していた「高麗」が滅び、「李氏朝鮮」(朝鮮王国)が成立します。中学生は朝鮮王国の時代にハングル文字が発明されたことを覚えておきましょう。
  3. また、琉球では国家成立の動きが始まり、中山王国を中心に琉球王国が誕生します(15世紀初頭)。しかし日本列島の反対側の蝦夷地のアイヌでは国家建設は進まず、室町中期にコシャマインの戦いが起こりますが、敗北し、和人(本州の日本人)による支配がはじまります。

とまとめられます。

『カタリベ』では、こうした国際情勢の変化が、登場人物たちの口から少しずつ語られています。主人公のカタリベは、明の建国時の動乱で海に逃げてきた漢民族の一族の御曹司という設定です。

物語当初に彼らの村が倭寇に襲われ、中山王国に奴隷として売られていくという話や、松浦党や村上水軍たち日本人倭寇と中国系倭寇(15世紀にはいると日本人倭寇より人数も多くなります)が協力して高麗遠征をおこなうなど、「横」のつながりが上手に描かれています。

海賊漫画といえば『ワンピース』ですが、あの作品のエライところは海賊の本質をついているところです。国籍や人種にこだわらず、目的のために団結して、時に国家とも戦うという点が、倭寇にも当てはまります。

「北虜南倭」という四字熟語があります。これは明の国を悩ませた二大問題を表しています。「北虜」とは、北方に追いやられた「元」が滅んだあと、オイラートという遊牧民族がたびたび明に侵攻し、皇帝が捕虜とされるという大事件(1449年・土木の変。大学入試から出題)が起こったこと、「南倭」とは、もちろん倭寇による被害です。あまりに被害が大きかったため、沿岸の住民を内陸に移住させたり、海禁策という鎖国政策をとったりしました。足利義満がどうして勘合貿易を許可されたのかも、ここに理由があります。

倭寇の取り締まりを行うという条件で日明貿易が行われました。この貿易は日本に莫大な利益をもたらしました。その最大のメリットが明銭の輸入でした。国内で貨幣を鋳造していなかった日本は、明が銅銭の持ち出しを禁止するほど大量の永楽通宝などの明銭を密輸し、お蔭で室町後期以降、日本にも貨幣経済が普及していきます。

最後になりますが、『カタリベ』は漫画として事前に勉強が必要なタイプの作品です。ですが、画力は高いし、こうした背景を知ればなかなか楽しめる佳作だと思います。『村上海賊の娘』(和田竜・新潮社)とあわせて読むのもおすすめです。

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