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桶川東口校コラム 漫画で歴史を学ぼう! 第7回『応天の門』

漫画で歴史を学ぼう

第7回『応天の門』

みなさん、こんにちは。社会と漫画を愛するサイエイDuo桶川東口校の竹下が、日本と世界の歴史をマンガでめぐって行こうという企画の第7回目です。

今回は、期末テスト対策で、中1からの質問が多かった、「平安時代」の中期の「摂関政治」をテーマを取り上げてみたいと思います。というわけで今回の一冊は『応天の門』を中心に語っていきたいと思います。

  • 作品名:『応天の門』(1~9巻)灰原薬(新潮社・2013年~)
  • 時代区分:9世紀の日本(平安時代中期)

学習ポイント:藤原氏の「摂関政治」についてまとめよう

平安時代は約四百年間と、とにかく長い!なので、代表的な人物によって四分割してみました。

平安時代まとめ
人名 関係する年号 特記事項
桓武天皇 平安京遷都(794年)・坂上田村麻呂が胆沢城を築く(802年) 征夷大将軍の派遣→東北で領土拡大。律令制の立て直し。
藤原道長 遣唐使の廃止(894年)・藤原道長が摂政になる(1016年) 摂関政治の全盛期。地方政治の乱れ→武士の誕生。
白河上皇 平将門の乱(935年)・院政の開始(1086年) 武士を利用した荘園管理→摂関政治の終了。
平清盛 保元の乱(1156年)・平清盛が太政大臣になる(1167年) 日宋貿易。源平合戦。

平安時代の流れがわからない人は、表を参考に記憶を整理するとよいでしょう。摂関政治を記述すると「娘を天皇のきさきにし、生まれた子を天皇にしてその摂関や関白として政治をおこなうこと。」などとまとめられます。摂関政治の完成は11世紀ですが、藤原氏による天皇家との婚姻関係は奈良時代にさかのぼります。そして藤原氏以外の有力貴族を排除していくことも奈良時代以来、継続し続けました。

『応天の門』は藤原氏が他の貴族(本作では、紀氏や伴氏、皇族の源氏など)を排除(暗殺や陰謀も含む)し、藤原氏の娘をいかに天皇に嫁がせ、権力を手に入れるかという陰謀ゲームに、若き日の菅原道真在原業平が巻き込まれるというお話です。主人公の在原業平が探偵役で、ホームズ的な人物。在原業平が検非違使(平安時代の警察的役職)で、ワトソン的な役割と、同じく平安時代をあつかった、岡野玲子の『陰陽師』の安倍晴明と、源博雅を意識した感じです。『応天の門』は連載中ですが、おそらくは東京書籍の『新しい社会 歴史』でも大きく取り上げられている。『伴大納言絵巻』応天門の炎上事件(応天門の変)がクライマックスになると思われます。

応天門の変は、藤原氏の他氏排斥のクライマックスともいえる事件で、本作にも登場する伴義男という有力貴族が流刑になりました。本作の伴義男は、大納言という非常に高い身分の貴族なのに、怒りっぽく、荒々しい人物に描かれているので、先行きは暗そうです…。ちなみに、本作の時代考証には、テレビでの活躍の多い、東大の史料編纂所の本郷和人氏が関わっているので、服装や町の様子なども、非常に正確なようです。

さて、本作でも非常に悪そうに藤原氏の面々が描かれています。特に藤原良房の甥の藤原基経は陰謀大好きの極悪人で、子飼いの暗殺者を使ったり、宮中で毒薬使ったりやりたい放題です。後にこの人が日本で最初の関白になります。そんな人物が政治のトップになるのですから、平安中期から政治の腐敗が始まります。藤原氏や有力な寺社は荘園を拡大し、中小の貴族たちは収入の多い国の国司に任命してもらおうと摂関家にわいろを贈り、その元を取ろうと任官された国で不当な搾取を行いました。そんな無法状態が、平安中期に武士を誕生させます。その武士の力を利用した、摂関家と血縁関係の薄い後三条天皇によって荘園の制限が行われ、その跡を継いだ白河上皇の院政で摂関政治は終わるので、まあ自業自得ですね。

藤原氏の権力獲得の始まりは、奈良時代に始まっています。その顛末を描いたのが実は『応天の門』よりも感動的な作品、里中満智子の『長屋王残照記』です。残念ながら、中学校では奈良時代の「長屋王の変」にほとんど触れないのでメインでは扱いませんでしたが漫画の完成度はとても高いです。『応天の門』のように最近の作品は、キャラクターが一面的です。悪か善かのどちらかの人物造形が多い気がしますが、『長屋王』の藤原不比等や藤原氏の面々は非常に人間的な魅力にあふれています。権力を手に入れたいのも自分の理想を実現するためだと語る不比等や、長屋王のあこがれながら、その潔癖さに反抗する藤原宇合など、歴史教科書だと悪人でしかない人物が情緒豊かに描かれています。

そもそも聖武天皇が、藤原光明子を正式な皇后にしたことが始まりです。それまでは皇族出身以外の夫人は「皇后」にはなれなかったのです。受験生的には「聖武天皇のやったことは全てダメ!」と覚えるのがコツです。墾田永年私財法(743年)は荘園という私有地を増やしただけだったし、ききんや疫病で人々が苦しんでいるのに国分寺・国分尼寺の造営や、東大寺の大仏の建立や、相次ぐ遷都など、さらなる負担を人々に課すことになりました。冒頭の桓武天皇の平安京遷都も、聖武天皇が仏教を保護しすぎたため、仏教勢力から距離を置かなければならなかったためです。

摂関政治に話を戻すと、唯一、摂関政治の良い面と考えられるのが女流文学の登場だと思われます。摂関政治の肝である自分の娘を天皇のきさきにするためには和歌をたしなむ教養のある女性として育てなければなりません。そのため
女性の家庭教師が必要となります。清少納言や紫式部も、それぞれ藤原定子・彰子の家庭教師でした。そうしたさき候補や、きさきたちの周りには芸術や学問を楽しむグループが多数生まれました。高校入試なら『枕草子』や『源氏物語』くらいですが、『更級日記』、『和泉式部日記』、『蜻蛉日記』なんかも覚えておくといいでしょう。もちろん女性が文学を書く上で仮名文字の発明はなくてはならないものでした。仮名文字の誕生と深いかかわりがあるのが遣唐使の廃止(894年)です。唐の衰退から、留学生の安全を考え廃止を提言したのが、『応天の門』の主人公菅原道真で、そのため平安中期以降は国風文化が栄えました。そう考えると菅原道真は藤原氏に政治闘争では破れましたが、日本の文化にとってはいい結果を残したと言えると思います。

歴史漫画の常として、登場人物たちの未来がわかってしまうところがあります。菅原道真は右大臣にまで出世しますが、藤原氏の陰謀で大宰府に左遷され、病死。相棒の在原業平は藤原高子と一緒になることはなく、高子は清和天皇に嫁ぎ、陽成天皇を生みます。しかしそうした史実の陰で、漫画的なカタルシスがあったのではないかを『応天の門』が描いてくれることを期待しています。おそらく菅原道真が死後、怨霊となり、宮中で不幸が相次いだので、天神としてまつられることになったことも、道真の計略として描かれると思います。

最後になりますが、『応天の門』より面白い作品はいっぱいあります。今回のコラムで取り上げた作品では、

  • 『陰陽師』(全13巻)岡野玲子(白泉社・1993年~2005年)
  • 『長屋王残照記』(全3巻)里中満智子(中央公論社・1991年)

の2作は、改めて読み直すと、高校受験レベルでないだけで、『応天の門』以上に勉強になります。また、平安時代は宮中文化へのあこがれもあってか、たくさんの漫画作品があります。たくさんある『源氏物語』の漫画化作品や、さいとうちほの『とりかえ・ばや』、おかざき真理の『阿・吽』などにチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。武士がメインの作品については、また別の機会にとりあげるつもりです。ではまた!

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